ケアラー支援条例市民アピール
- ケアラーネット 京都
- 3月11日
- 読了時間: 6分
2025年1月
京都ケアラーネット
(1) 条例制定に関する市民へのアピール
去る11月11日に「京都市ケアラーに対する支援の推進に関する条例(以下、本条例という)」が施行されました。この種の条例は既に全国32の自治体で制定されていますが、旧政令指定都市(六大都市)としては初めてのものであり、且つ極めて京都らしい特徴を持ったものであります。
その特徴の1つは2022年4月に、「ケアラー支援条例をつくろうネットワーク京都(以下ケアラーネット)」という19の当事者・市民団体のメンバーが共同代表となって展開した市民運動が起点となり、ボトムアップ型で制定されたということ。条例が制定されるまで、ケアラーネットは10回の公開学習会を開催し、多様なケア経験を相互に学びあいながら、ケアラー支援の必要性を提起してきました。こうした運動に呼応して、京都市会の全会派によるプロジェクトチームが設置され、ケアラーネットをはじめとする多様なケアラーの声を組み入れて、条例は制定されました。
そしてもう1つの特徴は「『ケア』は、人生の中で誰もが携わり得るものであり、社会を支える不可欠な営みである。ケアは社会の存立の基礎的な条件として尊重されるべきものであり、ケアを担うケアラーもまた尊重されなければならない。」という考え方に貫かれたものであるという事。こうした考え方は条例の前文に明記されています。本条例の前文は条例の立法の精神を表す京都らしいものとなっています。
こうした2つの特徴をもつ本条例は極めて幅広いニーズに対応したものとなっています。
例えば、日本語を母語としない家族を助けている子どもたち、自分自身も健康問題をかかえつつ配偶者のケアを行っている高齢ケアラー、親なき後の不安に悩む障害児者の両親やきょうだい、ひきこもりや依存症などの家族を日常的にケアしている家族などさまざまな当事者やケアラーを支援するのがこの条例の目的です。
このように本条例は画期的なものでありますが、条例が出来ただけで現状が改善されるわけではありません。これを真に実効性あるものとするには行政や専門職だけに任せるのではなく、全ての当事者や市民、大小の企業、関係事業者、研究教育機関、労働組合、マスコミ、各種の地域団体、NPO等の市民団体等々が緊密に連携して課題を1つ1つ明確にし、社会的にアピールしていくことが必要です。誰一人としてケアに無関係の人はいないのですから。
ケアに関わることはより良い人生を生きるために不可欠なことです。誰もが主体的に自分の事として関わるべきことであります。しかしそれが大きな負担となって当たり前の人生を生きることが出来なくなり、社会的に孤立するようなことがあってはなりません。誰もが安心して豊かな気持ちでケアすることが出来る社会にしなくてはなりません。
本条例はケアラーの基本的人権を守り自己実現を支援するものであり、同時にケアされる人の尊厳を守るためのものであります。
法律や条例は単に従えば良いというものではありません。みんなで大事に育てるものであります。本条例は京都市民が誇る事の出来る素晴らしい条例ですが、決して飾り物ではありません。また後は行政や専門職に任せればよいというものではありません。
この条例の趣旨をご理解頂くと同時に、誰もが自分の暮らし、地域の在り方、企業での働き方、学校等との関わり方、医療や福祉との関わり方等々を日々見直して、より良い人生を生きるためにこの条例を活かし育てていきましょう。それが私たちケアラー条例京都ネットワークの強い願いであります。(50字×34行=1,700字)
(2)ケアラー条例京都ネットワークの今後の取り組みについて
【多様な対象領域や対象者のための本条例の推進計画に盛り込むべき主な内容とその策定の在り方】
●行政任せにしない。現在の「ケアラー条例支援ネットワーク」を承継する組織による積極的参加。
●本条例は極めて対象領域、対象者が広いが、推進計画をバラバラの縦割り(項目の羅列)にしてはならない。
●単なるワンストップではない総合相談窓口の設置と適切な職員配置。(現存する各種相談窓口の見直し)
●それぞれの施策に具体的な財政的裏付けが必要。
●先行する自治体の推進計画およびその実施状況に関する調査研究も急がれる。
【実施状況に関する定期的評価(調査を含む)及び見直し等に関する協議体の在り方】
●少なくとも3年毎に調査を含めた定期的評価をする。必要なら条例の見直しも行う。
●当事者が積極的に参加する協議体の組織化。そのためにも「新しい市民ネット」の早急な組織化が不可欠。
●「新しい市民ネット」はオンブズマンとしての役割も担わなければならない。
【京都市の「新京都戦略」や「京地域福祉推進指針」及び「各種計画」と本条例との関係の在り方】
●「新京都戦略」は現在パブコメ募集中(~1月14日)。これには区役所の構造機能改革も含まれている。本条例の行政側の総合相談窓口を区役所に置くことに関する検討が必要。但し、そのためには各局に分かれた縦割り行政に拘束されない市民の暮らしに最も近い総合行政機関を目指す区役所大改革が不可欠である。
●「京(みやこ)地域福祉推進指針」には重層的支援体制の在り方が含まれている。但しこれは主として児童・高齢・障害及び生活困窮という福祉4分野の施策や関係機関等の連携を推進するものである。そのため本条例を真に実効性のあるものとするには重層的支援体制整備事業の推進だけでは極めて不十分である。
●従って各種の行政計画は本条例の施行に伴い基本的な見直しが必要である。
【各種の公的ケア及び支援に関する現行制度政策の改善に関する要望~京都市独自の積極的政策】
●現行のケア施策は多くの問題点がありケアラーを一層深刻な状態にしている。根本的な見直しが必要。
●そのためケアラー支援とケアを必要とする人々への支援の「二兎」を課題とする必要がある。
●先ずは現行ケア施策の問題点を明らかにするための総合的な調査が不可欠である。
【本条例推進における市民・企業・関係事業者及び関係団体等の役割と責任】
●本条例の実施を決して社会福祉協議会や地域包括支援センターに委託(丸投げ)させてはならない。その意味でも「新しい市民ネット」の早急な組織化が必要である。しかし、これからの市民ネットは極めて多様なケアニーズをもつ人々とそのケアラーを中心とし、その思いや現実を互いに学び合い助け合うと同時に、新しい当事者運動体として社会にシッカリ根付くものとならなければならない。そうした運動体がなければ結局は従来通り市民は行政サービスの受け手でしかなく、折角の条例が実効性を持つことはない。
【その他】
※ 国の法制度や行財政及び今後の展望に関する情報交換。
※ 全国的に展開されている各種市民運動等に関する情報交換。
※ 諸外国におけるケアラー支援の動向に関する情報交換。
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